またしても、とあるご夫婦の夕べの会話を楽しいものにしてしまったようで 、なによりでがす。 K.Fさんのご主人に申し上げますが、裁判所から出頭命令が来るのは、最後の最後ですよ。それまでは、調停やら何やらでこれまた大変なんだからあ。「あぶなかった」そうですが、いえ、大丈夫です、いざというときは、私が相談に乗りますから。 大使館で公判期日の書類を受け取った時からさかのぼること10ヶ月くらいまえ。調停の最中に家をたたまれてしまって、帰るところがなくなったわけ。で、難民シェルターのような1DKをやっと借りて、一息ついたら、ある日遠慮がちの声の男から電話。 「○○さんですか? あっ、私は○○さんの奥さんの代理人の××ですが。」 「????????」 「あっ、失礼しました。奥さんが離婚訴訟を起こされまして。はい、わたしが、その、えー、弁護人ということで。はい。」 「弁護士?(なあんか、聞き覚えのある声?)」 「はい。」 「どこの事務所ですかあ。」 「あ、いや、あの、××法律事務所・・・・(あら?、あそこの事務所には)」 「うん? お名前をもういっぺん言って。」 「あ、すみません、××ですが(声が小さくなる)・・・(?××だあ?)」 「え? あれ、なんだあ、あなた、××弁だろう。ええ、そうじゃないの。」 「あ、はい、済みません、××です。お久しぶりです。」 「ばかやろう! お久しぶりじゃあないよ。何やってんの、これえ。」 何の因果か、私の昔からの友人弁護士が妻の弁護人だったんですねえ、まったくもう。それから平身低頭、謝ること謝ること(原告の弁護人が被告に、ですが。) 何でも、弁護士会で「にこにこ離婚相談」というのをやっていて、各事務所から持ち回りで一人ずつ毎月出るんだと。それで、たまたま私の妻がそこへ駆け込んだ時の数人の弁護士の中に彼がいたわけ。よりによって、それが・・。 「何が「にこにこ」だ、こら。お前らがそういうことをやるから、安易な離婚が増えるんじゃないの、えっ、どうなんだよ。」 私としては、いよいよになったら、この××弁にでも頼もうかと内心思っていた。そしたら、そいつを、なあんとまあ、元妻が引き当ててしまった。 「おい、その担当誰かに代われないのか。」 「だめなんすよ。これ、事務所の中でも順番でということで。」 かくして、離婚難民のあとは、頼りにしようと思っていた弁護士まで向こうについてしまうはめになり、法も正義もあったもんじゃない。あわれ、法曹難民とあいなったのでした。