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  名著『旅の指差し会話帳/ネパール語』
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 No.070331024931186543    07/03/31(Sat) 02:49   by  野崎泰志 [変更] [削除]
 たしか、このサイトのボランティアにその著者もいたと思う。この本は名著だ。
 今回、13人の学生を連れてネパールで研修を行った。そのプログラムの一つに、「障害者トレッキング」というのをやった。視覚障害の方が二人、聴覚障害が二人、ネパール側から参加してくれた。みんなで助け合ってトレッキングをやる。
これは簡単なようで結構大変なのだ。健常者も障害者も、お互いに学ぶことが多い。
 二人の聴覚障害の方は男性なので、男子学生二人が組んだ。この二人は健常である。双方、日本語もネパール語も一言も知らない。第一、聞こえないのだから会話が不可能。そういう奇妙な四人が、20人くらいのチームの中で、トレッキングをやりながら四日間過ごした。
 男子学生の一人は、両親が聴覚障害者で、言わば日本語対応手話が母語である。もう一人の男子学生は、日本の手話も知らない。
 初日は、身振り手振りだけでほとんどコミュニケーションできない。ところが、その晩、一人が取り出したのが「旅の指差し会話帳」であった。何となく持ってきていたらしい。これが大ヒットであった。
 何しろ、日本語とネパール語が絵付きで対応されている。日本語対応手話が使える学生が、
 「これは、ネパール語手話でどうやるのか?」
 と次々に質問をした。相手は喜んで教える。たちまち二人の日本人学生はネパール語手話の語彙が増え、四人は突然ネパール語手話で会話を始めたのだ。
 二日目の晩には、四人でトランプをやってげらげら笑っていた。ネパール人が知らないポーカーのルールまで教えてわいわいやっている。手話だから静かだろうと思ったら大間違いで、がはがは四人の男が食堂用テントの中でひしめくものだから、うるさいうるさい。
 日本語とネパール語の語順が近いことも幸いした。最後の日のお別れ会で、ネパール人聴覚障害者がきちんとした挨拶をしたのだが、手話を母語とする男子学生は、私たちのためにそれを日本語に見事に通訳してくれた。
 ネパール語を知らない日本人が、手話という別言語を介して、たった四日でネパール人と軽快に会話を始めたのだ。今でも、二人の学生はネパール語は口では語れないけれど、手話では語れる。
 言語というものの奥深さと、若い人々の柔軟さに驚嘆したトレッキングであった。ネパールならではのことかもしれない。
 手話に必要な語彙や表現を加味すれば、この名著の手話バージョンができるかもしれない。きっと、静かなブームを呼ぶはずだ。

 この障害者トレッキングは、3月13日の”The Himarayan Times ”で紹介されている。