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  土地勘と常識批判情報の必要性
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 No.070405215523158446    07/04/05(Thu) 21:55   by  tanigawa [変更] [削除]
1.土地勘・現場感覚
3年ぶりにネパールに行ってみて,やはり現地に行かないと分からないことが多いことを改めて思い知らされた。報道された情報を修正して自分なりの「事実」を構成するには,生きた「土地勘」「現場感覚」が不可欠だ。

しかし,実際には,遠いネパールまでしばしば出かけることは難しい。そこで大いに期待したいのが,在ネ外国人。彼らの情報に接することで,ネパール疑似体験が可能となる。

それならネパール人発信情報でよいではないか,といわれるかもしれないが,ネパール人発信情報ではネパール疑似体験はできない。

2.常識批判情報の必要性
私は日本人であり,ネパール人ではない。外国人としてネパールを疑似体験し,「土地勘」「現場感覚」を得たい。それには,現地どっぷりでは得られない,外国人から見た「現地常識批判」情報も必要なのだ。

それが出来るのは,ネパール文化の周辺部にいる在ネ外国人だ。彼らこそが,ネパール人にとっては常識的なことにも疑問を持ち,その情報を発信できる。在ネ外国人がネパール人の「常識」を疑うわけだから,反発や困難も多いだろうが,周辺人の特権と考え,発信していただけるとありがたい。

3.時計と信号
これは幾度も書いたことだが,今回の訪ネでも衝撃的だったのは,時間観念の革命だ。自由化(1990年)以前のネパール時間(自然時間)から,わずか10年余りで完全に近代的時間(等速前進的時間)に切り替わっていた。

ほとんどの人々が正確な時間を知っており,時間通りに行動する。普段は時計を持たない私は,しばしば約束に遅れ,「時間を守れ!」と注意された。

そして今回も話題にした信号。信号もネパール人はきちんと守る。

こうしたことは,4月革命よりもはるかに根本的な精神革命といってよい。時計の針も信号も自然必然ではない。人の定めた規則に過ぎない。それなのに,時計はわずか10年余,信号にいたっては3年余で少なくとも都市部のネパール人の間に深く浸透し,彼らの行動様式を変えてしまった。

これが革命的なのは,ネパールの宿命と考えられてきたカースト制ですら,決して自然必然の掟ではなく,その気になれば廃止し,別の社会規範に変えうるということを意味するからだ。その損得,善悪は別にして,その気になれば,カースト制は廃止できる。時間観念ですら変えることが出来たのだから。

4.トリデビ寺院と信号とATM
ネパールの新聞もネットも,人々が時間や信号を守っていることなど一言も伝えはしない。いまや日常生活となっているからだ。しかし,私のような外国人が見ると,それは異様な光景だ。

タメルの入口に小さなトリデビ寺院がある。以前は周辺と美しく調和していたが,いまや完全に浮いている。

トリデビ寺院の入口の横,おそらく寺院の敷地の一角に寺院入口と並んでヒマラヤン銀行のATM(および外国通貨交換窓口)がある。そのヒマラヤン銀行ATMの左隣がSAARC事務局,さらにカンチパト交差点の向こうがアメリカンクラブとなる。そして,トリデビ寺院の向かいは文部省,その左隣にはモダンなファミレス。

この近代的,合理的な時間と信号(記号)が支配する(はずの)地域のまっただ中にポツンとトリデビ寺院がある。

もうお分かりであろう。そう,トリデビ寺院には男女合体像があふれている。ヒマラヤン銀行ATMは,先進国ではワイセツとされる露骨な男女交合像の軒下で稼働しているのだ。

日本援助の信号機が合理的信号(記号)により車や人々をコントロールしている,そのすぐそばで,それとは全く別の原理に従う赤裸々な人間行為が開陳されている。

しかも向かいは,いまでは近代科学と民主主義を教えるべき文部省。日本だったら文教族は怒り狂い,教育ママは泡を吹いて卒倒するに違いない。

そんな革命的な現象ですら,ネパール・メディアは伝えない。そうしたことは,やはり現地に行って直に見るか,あるいは周辺人である在ネ外国人に伝えてもらうしかないだろう。

5.トリデビかATMか?
現在の異様な「トリデビもATMも」は過渡的現象であって,長期的には無理だ。いずれ「トリデビかATMか」となるにちがいないが,そのときは,結局,ATMとならざるを得ないだろう。

ネパールでも,モダンのマモンがプリモダンの神々を征服し,世界を脱魔術化する。味気ない話だが,これも運命,致し方あるまい。