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マオイストが,悪役・国王のテコ入れに懸命だ。野宿PLAの後始末,7+1党体制の維持,UNMIN特需の継続拡大――どれ一つとっても,悪の枢軸の総元締めが必要なのだ。
見え見えなのに,元祖テロリストたるマオイストの議員総代で政府代弁者のクリシュナ・マハラ情報相は,国王が国軍R・カトワル幕僚総長(CoAS)と密会したと大宣伝している。少し前の王党派によるアメリカ人襲撃情報と同じく,某日某所らしい。
むろん,もしかりに事実とすれば,これは危険きわまることで,国王はそんなことは断じてしてはならない。
同じく,ダクシンカリ参拝も国軍兵など伴わず,丸裸で行くべきだ。偉大なカーリー女神が守ってくれているし,万が一,攻撃されるとしても,それはnoblesse oblige,国王の名誉として甘受すべきだ。
元祖テロリスト・マオイストは,「悪」の効用をよく知り,国王を悪の枢軸の総元締め,本家テロリストとしたがっている。マオイストにとって一番困るのは,国王がよい子ちゃんになってしまうことだ。
言い換えるなら,国王にとっての最善の自己防衛策は,一切の政治的活動を止め,自分を完全な象徴にしてしまうこと。世俗権限を失っても,国王には千年以上の「王制」の歴史的伝統がある。政治を断念すれば暇が出来るから,保守主義の元祖,E・バークでも繙いて,21世紀型君主への道を研究していただきたい。
最善は「純粋象徴」君主制,次善が「悪の象徴」君主制,最悪が「犠牲の子羊」共和制。軽薄な国会投票で「悪の象徴」国王がいなくなれば,現状では,まず間違いなく国王に代わる「犠牲の子羊」探しが行われる。7+1党の面々は,自分が子羊に仕立てられ,共和宗教の祭壇に捧げられる日のことを想定して行動すべきだ。
いや,親分衆だけではない。マオイスト直接行動主義の代弁者マハラ情報相は,このところさかんに民族や地域や諸団体に対しバンダを止めよ,と要求している。それらの一つを国王代理として「犠牲の子羊」に仕立て上げるのは造作もない。
法治は法が人を支配する。法治に犠牲の子羊は不要だ。ところが,人が人を治める人治主義のマオイストにおいては,自分がやってきたこと,今もしていることを,他者には許容できない。それを正当化するため,人治には「犠牲の子羊」が不可欠なのだ。
* eKantipur, 29Apr2007
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