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  ネパール人だけでは決められない
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 No.070510151609541813    07/05/10(Thu) 15:16   by  tanigawa [変更] [削除]
数年前,ネパールについて議論していたら,あるネパール人の方から,(1)ネパールのことはネパール人が最もよく知っている,(2)ネパールのことはネパール人で決める,(3)日本人はネパールのことを云々すべきではない,と批判された。その時も,この批判は,(1)(2)(3)とも完全な間違いであると反論した。微妙な問題ではあるが,基本的には今もその考えに変わりはない。

(1)について
人は自分のことはわからないもの。革命フランスは反革命イギリスのバークに理解され,民主主義アメリカはフランス貴族トクヴィルに理解され,軍国日本はアメリカ女性R・ベネディクトに理解され,そして地球は地球外に出たガガーリンによって理解された。

ネパールのことはネパール人にしか分からないというのは,日本のことは日本人にしか分からないというのと同じく,全くの誤り。国民理解に,国籍は関係ない。

(2)について
これも誤り。例外的な鎖国時代を除けば,どの国も自国民だけで自国のことを決めたりはしていない。日本の内政,外交のうち日本国民だけで決められることは何一つない。アメリカだって,アメリカ国民だけで決められることは実際には何一つない。また,アメリカ人だけで決められたら,たまったものではない。

ネパール自身,国連介入を依頼し,経済援助を仰ぐなど,自ら外部依存を強化している。日本やアメリカと同じく,ネパールもネパール人だけでネパールのことを決められないし,事実,決めてもいない。

(3)について
これも誤り。日本(人)はネパールに深くコミットしており,何かを言うことは日本人の義務といってよい。もし何も言わないでいたいのなら,ODA,NGO援助,調査研究,観光旅行等を全廃し,トヨタ,ソニー等も総引き上げし,ネットも遮断し,在日ネパール人,在ネ日本人を全員国外退去させるべきだろう。こうしてコミットを断てば,発言しなくても済む。

そんなことはできない,というのであれば,発言の義務がある。深くコミットしていながら,知らぬ顔の半兵衛は卑怯だ。

――以上のように,ネパールについての議論は日本人の義務であることは明白だが,だからといって,どのような議論をしてもよいというわけではない。最も根本的なのは,ネパールの人々と文化への敬意,あるいは愛。大切だと思うからこそ批判する。どうでもよければ,黙っている。

公正。議論が公正であるべきはいうまでもないが,これはなかなか難しい。相互批判し,自己の誤りは謙虚に反省し,公正に近づいていくのが王道だろう。嫁姑関係に詳しい人はその部分の情報をただし,地方に詳しい人は地方生活について説明し,国政に詳しい人は中央政界の動きを追う。それぞれが得意の分野やレベルから発言し,不足部分を相互補完し,公正に近づく。これしかあるまい。

民主政治とは,こうした公論による政治といってもよい。批判なしの民主制は,totalitarian democracyである。もしそれがいやだというのなら,内外からの批判を歓迎すべきだ。様々な意見を聞いた上で,選挙や協議やデモや訴訟等で地方や中央の政治のあり方を決めていく。

「ネパールのことはネパール人で決める。」そんな事実に反する全くの虚構を前提にした不毛な議論はしてはならない。ネパールのことはネパール人だけで決めていないし,決められないし,決めるべきではない。これが現実だ。この冷厳な事実を引き受けた上で,現代における「内政不干渉」の意味を明確化し,ネパールの人々がネパールの何を,どのように決めるべきかを議論していくべきだろう。

以上は,そっくりそのまま日本にも当てはまる。念のため。