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  暫定憲法(1) 民定総花憲法
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 No.070514113852186099    07/05/14(Mon) 11:38   by  tanigawa [変更] [削除]
暫定憲法2063(2007)は,2007年1月15日公布・施行された。ネパール初の民定憲法らしく人民の要求をあれもこれも取り入れ,書き込んだ総花憲法で,花々しくはあるが,いくつ実行できるか,はなはだ心許ない。立派なことは立派なので,敬意を表し,拝読することにしよう。
(注)前文からの流し読みなので,見落としや誤りがあるかもしれません。気づき次第,訂正します。試論としてご覧ください。

前文
前文は,主権者たるネパール人民が,今日までの民主化運動の成果を踏まえ,国家を再構築し,階級・カースト・地域・ジェンダー差別に由来する諸問題を解決するため,暫定憲法を制定すると,宣言している。そこには,自由と人権,民主的選挙,公正な司法,法の支配,主権と国民統合,国家の独立等々,自由民主主義の諸原理はすべて花々しく列挙されている。

異彩を放っているのが,「競争的多党制民主主義」の宣言。一言で言えば,アメリカ「選挙民主主義」への全面降伏だ。競争的多党制とは,新自由主義自由競争経済の政治版に他ならない。コングレスやブルジョアUMLがこれを宣言するのは分からぬではないが,農民革命のマオイストがこんなものを宣言してどうするのか。ブルジョア・マオイスト!

以前の憲法では,「社会主義的」あるいは「平等主義的」目標が少なくとも建前としては宣言されていた。ところが,この暫定憲法では,そうした平等主義的目標がなくなり,「競争」と「経済発展」になった。米帝バンザイ!

ともあれ,この暫定憲法は,憲法制定議会で新憲法が制定されるまで有効と宣言されている。

第1編 総則
1.主権
総則(Preliminary)では,「主権はネパール人民にある」という主権規定が暫定的なものとされている。これについては議論があったはずだが,失念。思い出したら,なぜ暫定規定になっているのか,補足説明します。

2.国家
ネパールは「独立,不可分,主権的,世俗的,包摂的,そして全面的に民主的な国家」と規定。「世俗的」「包摂的」「全面的に民主的な」が目新しい。

「包摂的」と「民主的」は,そう簡単に両立しないのに,両手に花,お芽出たい。芽が出るかな?

3.国民
国民規定は,花々しく,また華々しい。「多民族,多言語,多宗教,多文化」を尊重しつつ,一つの国家に忠誠を尽くすのだそうだ。多と一が,多様性の有機的統一となればよいが,有機的統一は近代化に反するのが難点だ。

4.言語
多言語だから,当然,各民族言語は尊重され,地方自治体の諸機関で使用できる。しかし,なぜか中央の諸機関については記述がない。

公用語は以前と同じく「デバナガリ表記のネパール語」と規定。

これは,ごまかしといってよい。むろん,ごまかしを繕うため,国家がそれらの諸民族語を公用語に翻訳し,記録しなければならないと規定しているが,そんなこと,本当にできるのか? また,翻訳経費の他に,多言語政策はもっと深刻な問題をはらんでいる。

安易に多言語にすると,新しい「言語カースト制」が形成される。英語―ネパール語―諸民族言語。この言語カースト制は,すでにかなり形成されており,ネパールでは使用言語で身分の見当がつく。ネパール語だけでは商売にならない。ましてや少数民族語では,言語被差別民に転落するだけだ。

そうだとすると,ネパール語=国語(国家語)教育も,一概には否定できないことになる。日本も明治以降,日本語=国語を全国民に強制してきた。そこに問題はある。あることは認めるが,もし日本が多言語政策を採っていたら,いまの日本は逃れようのない言語カースト制となっていただろう。英語帝国主義の悪巧みに安易に乗せられてはならない。

5.国歌など
国歌は90年憲法では国王賛歌だったが,暫定憲法では国章とともに政府が定めることになった。

国旗等はそのまま。国の動物も「牛」とされている。