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  暫定憲法(2) 平等権より自由権?
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 No.070515231239583474    07/05/15(Tue) 23:12   by  tanigawa [変更] [削除]
第2編 市民権
市民権(国籍)については,タライのインド系を中心に,ネパール市民権要求運動が展開され,暫定憲法でも市民権取得要件が大幅に緩和された。

90年憲法では,子供がネパール市民権を取得するのは父がネパール人のときだけだったが,この憲法では「父または母」となった。

また,2046年チャイト月末(1990年4月中旬)までに生まれ,ネパールに永住しているものは,出生によりネパール市民権を得る。

さらに,90年憲法は市民権取得要件としてネパール語能力などを定めていたが,この憲法ではそれらは削除され,要件の規定は法律に委ねた。

以上のように,暫定憲法では市民権取得要件が緩和されただけでなく,政府に対し「市民権付与チーム」を設立し,有資格者に市民権を付与することまでも義務づけた。これにより,すでにタライを中心に218万人(2007年4月30日現在,新華社4月5日付)が新たに市民権を取得している。

国境はもともと不自然なものだから,市民権要件の緩和は当然だが,その反面,国民構成が急激に変わると民族対立など軋轢も多くなる。

それともう一つ,男女平等の観点から言えば,不思議なのは,外国人女性はネパール人男性と結婚することによりネパール国籍を得られるのに対し,外国人男性がネパール人女性と結婚する場合の規定はない。なぜだろう?

第3編 基本的権利
権利については,先住(少数)民族,ダリット,女性,子供,労働者に関するものが大幅に拡充された。弱者,少数者の保護には違いないが,よく見ると,ここぞ,というところでは国益優先になっている。また,権利保護のための経済的裏付けへの配慮も見られない。本来は法令に委ねるべきことまで要求に応じて細々と書き連ねた総花的権利保障という感じは否めない。花はあっても実がつくかどうか?

1.自由権
誰の企みか知らないが,90年憲法では平等権が先だったのに,この憲法では自由権が先頭に置かれている。自由の方が平等より大切と言うことか?

目新しいのは,「政党結成の自由」くらい。しかも,前憲法と同じく,ここで規定の諸自由は,国家の主権や統合,社会の調和などを維持することを目的とした法律により制限される。法律の範囲内の自由の規定にすぎない。

2.平等権
自由の後に回されたのが平等権。禁止される差別として,「出自」と「言語」が追加された。言語による差別は日常化している。この権利をどう保障するのだろうか?

積極的是正措置などの特別扱いを受ける権利は,従来の女性,子供,老人等の他に,ダリット,先住民族,マデシ,農民,労働者にも拡大された。しかし,農民や労働者まで特別扱いすると,特別が特別ではなくなってしまうのではないか?

3.不可触民差別・人種差別の禁止
独立の条文に昇格。出自,民族,カーストによる差別の禁止をさらに厳格化。

4.出版・放送の権利
ネット等の新メディアの自由を追加。が,こんな細々としたことは法令に委ねるべきではないか? その一方,「ネパールの主権,統合を危うくしないこと」等の但し書きはそのまま残り,法律でどうにでも制限できるようになっている。

5.環境・健康への権利
新設。清潔な環境で生活する権利。基礎保健は国費でまかない無料。結構なことだが,言ってみただけになりかねない。

6.教育・文化権
各民族には母語による基礎教育の権利や言語,文字,文学,文化の保存権がある。中等教育まで無料。

7.労働権,社会保障
働く権利の保障。また,労働者,老人等の社会保障への権利を規定。

面白いのは,「食料主権」(food sovereignty)。各市民が食料主権を保障される。すごい! 新しい権利があれば,すかさず書き込む。が,どうやって保障するのだろうか? 食料を外国に依存するな,という政策要求だろうか?

8.財産権
土地改革を明記。ただし,地主補償あり,

9.女性の権利
女性差別禁止。リプロダクティブ健康の権利。これも新しい。名訳はまだない。「性と生殖の権利」ではあまりにも即物的。

相続権も,男女平等と明記された。

10.社会的公正への権利
女性,ダリット,先住民族,マデシ,被抑圧集団,貧しい農民・労働者には,比例制により,国家活動・事業に参加する権利がある。

11.子供の権利
子供には「アイデンティティ」と「名前」への権利がある。これも新しい。子供のアイデンティティは誰が創るのだろう。名前と同じく親が与えるのか?

国家救済の対象としては,紛争犠牲者,ストリートチルドレンも明記された。

また,子供は,軍,警察。あるいは紛争で使用されてはならない。

12.宗教への権利
改宗勧誘禁止はそのまま残された。これは,いうまでもなくキリスト教対策。

13.司法に関する権利
公費司法扶助を規定。ただし,「予防拘禁」は残している。

14.労働に関する権利
労働者には団結権,団体交渉権がある。

(注)前文からの通し読みであり,見落としや誤りがあるかもしれません。試論としてご覧下さい。