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Since2006/06/09 Last update 2006/06/09 by nakamura
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  暫定憲法(3) 「法の支配」逆行の指導原理
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 No.070516121744332886    07/05/16(Wed) 12:17   by  tanigawa [変更] [削除]
第4編 国家の責任,指導原理及び政策
編のタイトルに「責任」が追加され,さらに無責任となった。ありとあらゆるきれい事が花々しく列挙された,単なる作文。

しかも,90年憲法では冒頭で,この編の諸規定は裁判規範でなく,法的強制力がないこと,つまり国家の努力目標にすぎないことをあらかじめ明記していたのに,この憲法では,さすがに恥ずかしかったのか,編の末尾に回している。こんな姑息なことをせず,せめて冒頭に堂々と書くべきだ。立法者の誠意を疑う。

国家の指導原理の類は,インド憲法をまねたものだろうが,こんな裁判規範にもならないものは憲法にだらだらと書き連ねるべきではない。百害あって一利なし。こんなものが憲法のなかにあるから,政府も政治家も国民も,憲法なんか所詮きれい事,守らなくてもかまわない,という法軽視の風潮が蔓延するのだ。

日本国憲法など他の憲法にも,生存権など,法律で具体的内容を規定しないと強制しにくい規定があることはあるが,ネパール憲法のように,最初から守られる見込みも,守るつもりもまるでないような規定をだらだら書き連ねると,最高法規としての憲法の権威が小学生の落書き程度にがた落ちする。

イエーリング『法=権利のための闘争』を見よ。いかに些細な損害であっても,法=権利を守らせるために全精力,全財産を費やす覚悟のイギリス人の紳士らしさ。法は守られるべきものだ。

それなのに,最初から守るつもりもない法や実現する気もない権利を書き連ねる。法の愚弄だ。法は守られるべし。もし政府が守らなければ,責任者をもれなく断固処罰し,法を回復する。それが「法の支配」だ。

途上国のネパールには,社会権など,諸権利を保障したくても先立つ経済的資源がないから努力目標にとどめる,という立法趣旨は分からぬではないが,だったら,もう少し控えめに簡素に書くべきだ。他の裁判規範たるはずの諸権利規定と同じようなことを,この編に書き込んでしまったら,他の規定まで法的強制力がないものと見られてしまう。

1.国家の責任
(1)2064年ジェスタ月末(2007年6月末)までに憲法制定議会開催。これはすでに実施できないことになった。

(2)「多党制競争民主制」など,あらゆる自由と権利,民主主義に関することを列挙。食料主権,政党の責任なども明記。

(3)女性,ダリット,先住民族,マデシ,被抑圧少数者集団にたいする階級,カースト,言語,性,文化,宗教,地域を理由とした差別を解決するため,「既存の中央集権的一元的国家構造」を除去し,「包摂的,民主的,進歩的な国家」へと国家を再構築する。

これは全くの見当違い。ネパールは,近代的中央集権化が不徹底であり,これらの諸問題を解決するには,強力な近代化=合理化=中央集権化が必要。近代以後となった先進諸国の悪巧みに安易に乗せられると,強力な中央権力が確立せず,権力分散の前近代に逆戻りし,ネパールはインドや先進諸国の食い物にされてしまう。

少数者,弱者の権利保障には,多数派を抑制することのできる強力な中央権力が不可欠。無責任な先進国多文化主義者のオモチャにされてはならない。

(4)土地なし農民,債務労働者等に,土地分配を含む「経済保障」「社会保障」を実施。

(5)内戦後の社会再建のため「真実和解委員会」を設置する。

2.国家の指導原理
90年憲法の5項目から,この憲法では6項目に増え,「民主主義」がちりばめられた。内容的にはほぼ同じ。

3.国家の政策
90年憲法の16項目から,この憲法では22項目に増加。積極的是正措置を少数者集団,土地なし農民,スクォッター,債務労働者,紛争被害者,女性,ダリット,先住民族,マデシ,ムスリム等に対し実施。ここで「ムスリム」が明記されたのが注目される。

解放された債務労働者には,土地分配。

4.提訴禁止
この編の諸規定は,裁判規範ではなく,法的強制力はない。政府の努力目標。編の最後に回された。

(注)前文からの通し読みであり,見落としや誤りがあるかもしれません。試論としてご覧下さい。