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  暫定憲法(4) ひも付き行政と議会
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 No.070517152240543741    07/05/17(Thu) 15:22   by  tanigawa [変更] [削除]
第5編 行政
90年憲法では「行政」の前に「陛下(国王)」と「王室会議」が置かれていたが,暫定憲法では,それらは完全に削除され,共和制の規定となっている。

1.行政権
行政権は旧憲法では「国王と内閣」にあったが,この暫定憲法では「内閣(大臣会議)」にあり,「ネパール政府」の名で執行される。

国王の処遇は未定だが,暫定憲法は共和制原理により制定されているので,この編にも国王に関する規定は一切ない。旧憲法の国王特権,国王に対する内閣の助言と承認,国王による認証は,すべて削除された。

2.内閣
首相と諸大臣は,7党=マオイスト「政治合意」(2006.11.8)に基づき,選任される。この合意が得られないときは,首相は立法議会議員の2/3の多数により選任される。また,首相は,議員からの大臣選任に当たっては,関係政党の推薦を求める。副大臣,大臣等は,議員以外の者も任命できる。

辞任については,首相は,自ら辞任するか,議員でなくなるか,死亡するかのいずれかの理由以外では解任されない。大臣は,自ら辞任するか,首相が解任するか,関係政党との協議により首相が解任するとき,職を解任される。閣外大臣,副大臣についても同じ。

宣誓は,首相は議会で,他の諸大臣は首相の前で行う。

――以上のように,「第5編 行政」は,暫定憲法らしく,基本的に暫定的なものになっている。当然とはいえ,政党主導であり,7+1党合意がなければ,何もできない。

首相は,議会不信任決議による解任が規定されていないので,強力なように見えるが。実際にはそうではなく,諸政党に完全に依存するようになっている。7+1党合意が動揺すれば,たちまち政府は崩壊する。

移行期だから仕方ないとはいえ,不安定な危険きわまりない暫定政府である。


第6編 立法議会
立法議会(Legislature-Parliament)は,2006年4月革命の結果,設立された革命議会であり,当然,非民主的なものである。

立法議会は,4月28日,国王が復活させた旧議会に起源をもつから,形式的には合法性を持つといえなくもないが,それは屁理屈であり,実質的には完全な革命議会であり,したがって非民主的である。非民主的だが正統だ,と言えるかどうかは,今後の議会の行動にかかっている。

また,共和制原理によっているので,ここでも国王に関する規定は一切ない。90年憲法では,議会(立法権)は「国王と両議院」から構成されていたが,この憲法では立法権は一院制の立法議会にある。

1.立法議会の構成
(1)一院制,定数330人
  旧上下院の選挙選出議員   209人
  CPN−マオイスト       73人
  統一左翼戦線,他の団体等   48人

(2)議員資格: 25歳以上のネパール市民で,人民運動の支持者。人民運動敵対者は資格なし。

(3)任期は,憲法制定議会開会まで。欠員になったときは,前任者の所属政党,団体等からの指名により補充。また,選出政党・団体等からのメンバー資格喪失等の申し出により,議員は解任される。

(4)宣誓は立法議会で行う。

2.議長と副議長
議長と副議長は,同一政党からは選出しない。議員総数の2/3の多数で解任される。

3.会議
招集は,初回は首相,以後,議会自身が招集。定足数は,全議員の1/4。

――以上のように,立法議会は極めて非民主的であり,議員選出,解任について,政党や選出母胎の諸団体に決定的な権限が認められている。

むろん,90年憲法には,国王が関与する非民主的な規定がたくさんあった。もともと立法権そのものが国王と議会(king in Parliament)にあった。上院には国王指名議員が10人いたし,議会招集・閉会も国王権限だった。国王は,議会に出席し,演説し,また教書を送ることができた。

これらの国王権限は,国王そのものの規定がなくなったことにより,すべて削除された。その限りでは,議会は民主化されたが,その代わり,議会は議会外の政党等に従属することとなった。これは,先述のように,革命という例外状態における暫定措置である。

例外状態は,民主主義を許容できない。だから,暫定憲法の立法議会が非民主的なものであることは理解できるが,これはあくまでも短期間の例外状態においてだけである。例外状態が長引き,「例外」でなくなると,立法議会の非民主性の欠陥がたちまち顕在化し,ネパールは危機に陥るだろう。

これは杞憂ではない。すでに6月選挙は実施できなくなり,例外常態が恒常化しつつある。議会がこの構成であれば,時間とともに,議会は特権とコネと個別利益の巣窟となり,今度こそ軍事クーデターか本物の社会革命になるであろう。

(注)前文からの通し読みであり,見落としや誤りがあるかもしれません。試論としてご覧下さい。