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  新古と善悪
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 No.070703191756919302    07/07/03(Tue) 19:17   by  tanigawa [変更] [削除]
ネパールと直接関係はないが,遠足引率の感想文を書いたので,文化の見方の一つとして,ご参考までに,そのまま掲載させていただく。

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   新古と善悪

              社会科教員 谷川昌幸

安部先生ご指導の佐賀スタディツアーに参加し,唐津を見学しているうちに,「新古と善悪」の関係を改めて考えさせられた。物事にはすべて多面性があるが,ここでは単純化し要点だけを述べることにする。

新古と善悪の関係には,図のようにA(新しくて善いもの),B(古くて善いもの),C(古くて悪いもの),D(新しくて悪いもの)の4類型がある。

本来これらは峻別されるべきだが,近現代人は進歩史観に囚われ,無意識のうちにA(新=善)かC(古=悪)の二者択一しかないと思いがちだ。たとえば,本来「新しさ」そのものには何の価値もないはずの教育の場ですら,とにかく「新しければよい」との思いこみから,生徒学生と教職員を実験材料にし,右往左往,いたるところで無惨な教育の荒廃を招いている。

唐津でも,最新の醜悪な風景が広がっていた。西の浜・旧高取邸対岸のグロテスクな火力発電所,名護屋城趾西方の不気味な巨大原発,そして古き良き村の裏山の奇怪な発電風車。新=善の思い込みがなければ,いかに効用のためとはいえ,こんな無神経な文化景観破壊はしないだろう。馬にまたがり一人敢然と風車に突撃したドンキホーテ。その悲壮な決意,騎士精神の気高さが忍ばれる。

近現代のこの浅薄卑俗なA信仰に反省を迫るのが歴史遺産だ。菜畑の「最古の稲作」は,「古さ」そのものが価値を生むことを教えてくれる。名護屋城趾,旧唐津銀行本店,旧三菱唐津支店本館,旧高取邸は,たとえ封建的支配や資本主義的搾取の結果であったとしても,そこでは超時間的美と崇高が時間的持続と渾然一体となり,今では見事な歴史的文化景観となっている。いやそれどころか,慶長の役の「鼻請取状」のような醜悪きわまりないものであっても,名護屋城博物館展示のように,古さが歴史的価値を生むことを教えてくれている。

むろん,古いものも初めは新しかったのであり,またC(古くて悪いもの)も多々存在する。あるいは,観点によって善くも悪くもなるものも少なくない。しかし,時間を経てきたものは,それだけの理由があったのであり,まずは敬意をもって遇するべきである。固陋,旧弊の恐れはある。が,集団A妄想の今だからこそ,あえてB再評価を力説したい。最近の製品はパソコンのように発売3か月でもう旧製品。学校もそんな即戦力使い捨て「人材」を育成してよいのか。新しさ競争のA妄想時代にあっては,古さこそがカッコよい。そんなことを,佐賀スタディツアーは考えさせてくれた。