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  パルバティ同志,ヒシラ・ヤミ(2e)
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 No.070726132351565990    07/07/26(Thu) 13:23   by  tanigawa [変更] [削除]
6.新しい科学的文化
(1)新しくて古い「新しい科学」
共産主義は近代の嫡子であり,近代崇拝といってもよい。パルバティ同志の場合も,「新しい」と「科学」を多用しており,近代化を目指していることは明白だ。パ同志のスローガンを列挙してみよう。

女性改革,意識向上,清潔向上,清潔な禁酒環境,衣服簡素化,地場産品使用,贅沢結婚式反対,長期服喪反対,寡婦抑圧反対,初潮女子虐待禁止,(汚れた女性の)耕作・屋根葺き禁止反対,新しい休日の採用(国際女性デー,メーデー,人民戦争開戦記念日,殉死者週間)

「新しい科学的文化」の核心は,「意識(自覚)」「清潔」「簡素(簡潔)」等々,つまり主体性と合理性(効率)のようだ。たしかに中世からすれば「新しい」が,ポストモダンの現代からすれば「古い」。

(2)科学的男女関係
ここには,期待していた「科学的男女関係」の説明はなかった。肩すかしだが,それが「新しい科学的文化」の一部であることは明白なので,そこから推測すると,それは主体的,自覚的,清潔,合理的な男女関係,つまり無駄な虚飾を排し科学的合理的な愛情のみに基づく男女関係ということになるだろう。

では,その「愛情」とは何か? その説明は全くないが,いうまでもなくそれはマルクス・レーニン・毛沢東主義イデオロギーに基づく科学的愛情だろう。科学は普遍性をもつから,もしパ同志のいう「愛情」がそのような科学的なものであるなら,男女関係の正邪も科学的に判定できることになる。パ同志自身は明言してはいないが,「科学的男女関係」という以上,論理的にそうならざるを得ない。

(3)新しい科学的文化
「新しい科学的文化」は,このような「科学的男女関係」を含む合理的近代的文化のことだ。パ同志は,ブルジョアどもが合理化(商品化)をためらった愛情の領域までも大胆に科学の世界に引き込み,科学により合理化することをねらっているのだ。

パ同志が,圧倒的な抑圧的遺制を前に,科学の威力を借りたいと思ったのは無理からぬところだ。女性を取り巻く耐え難い因習や抑圧的制度の数々,それらは廃止されて当然だ。それはその通りだが,一方,それは耐え難いから廃止するのであり,厳密にいえば,「古い」からでも「非科学的」だからでもない。たとえば,ダサインとメーデーを比較して,メーデーの方が「新しい」とか「科学的」だなどといってみても仕方ない。

といいつつも,正直に告白すれば,昔々,学生時代に進歩的学生の間で,簡素で合理的,科学的な会費制結婚式が流行し,私も何回か出席し,その「新しさ」「科学的合理性」に感動したものだ。すんでのところで,「古い」結婚式は非科学的,因習的でケシカラン,と叫びそうになった。が,もちろん結婚式は趣味の問題だから,カップルの好みにより古式ゆかしく厳かに挙式しても何ら問題はない。

問題は科学的か否かではなく,別のところにある。インドやネパールでは,持参金や豪華結婚式が社会的圧力となり,極端な場合,娘殺しまで引き起こしている。こんな悪習をどうして廃止させるか? 「古い」「非科学的」というのが手っ取り早く,効果的だ。日本でも,高度成長以前のまだ貧しかった頃,本物の門松のかわりに,松を印刷した紙を玄関に貼る生活合理化運動があった。科学的結婚式以上に浅薄な運動であり,伝統的文化を衰退させる一因となったが,時代状況からしてやむを得なかったかなぁ,という気がする。

この印刷門松同様,パ同志の「新しい科学的文化」も浅薄であり,およそ非文化的,あるいは反文化的ですらある。これは文化大革命の一種だ。

しかし,私は,パ同志が「非科学的後進文化」を否定し「新しい科学的文化」を主張せざるを得ない政治的理由はよく分かる。科学的結婚式を強行しなければ,積年のジェンダー差別は解消されないのだ。革命は一般に非文化的,反文化的な政治運動だ。私は,「新しい科学的文化」はそれ自体くだらないもの,およそ文化の名に値しないものだと思うが,それを唱えざるを得ない事情はよく理解できる。その意味では,パ同志を私は支持する。頑張れ,パ同志!

7.女性と人民戦争の成果
(1)ネパール・イメージの革新
パルバティ同志によれば,ネパールの女性はこの「新しい科学文化」を学習し,「赤い専門家(red and expert)」にならねばならない。女性は今のところイデオロギーと理論が弱い。女性が革命を指導するには「新しい科学文化」の学習が不可欠なのだ。

ネパール女性にはこうした課題があるものの,女性参加の人民戦争が大きな成果を上げたことは間違いない。人民戦争により,ネパールのイメージは――
 「疲れた栄養不良の女たちが子供を背負い家畜の世話をしている」
というものから,
 「威厳ある女たちが銃をとり戦っている」
というものに,劇的に変化した。

たしかにそのとおりだ。ネパール女性と,彼女らに象徴されるネパール・イメージは激変した。(ただし,銃を取ることを女性解放への前進と手放しで歓迎することは出来ないが。)

(2)人民戦争の成果
パ同志は,人民戦争の成果を次のようにまとめている。

ヽ級戦争への結集=国家暴力,家庭内暴力への抵抗を階級戦争に高めた。封建的抑圧下で押さえ込まれていた女性の怒りを,封建国家との戦いへと解放した。

⊇性のための基礎インフラ整備=根拠地では保育センター,寄宿舎がつくられ,女性の家内労働を軽減し,女性の活動を社会的により生産的,より目的志向的とした。(美しい家庭を唱えるアナクロ安倍首相の逆鱗に触れそうだ。)

「女性搾取皆無モデル村」=理論実践の場であり,ここで成果が確認される。

ざ産主義への前進=家財を守ることを名目に要求されてきた女性の個人的献身を,社会のための社会的献身に高めた。女性が生産力,再生産力として獲得した社会的・共同体的能力を新しい人民国家のために使い,共産主義へと前進することが可能となった。

チ缶姪政治化=社会,とりわけ被抑圧社会を全面的に政治化した。アーリア系女性,とくにタライのマデシ女性から封建的桎梏を除去した。モンゴル系女性については,伝統的に享受してきた相対的に大きな自由を確認し,発展させ,そして目的志向的なものとした。特に大きな成功は,非人間的境遇にあったダリット女性を立ち上がらせ,彼女らの尊厳ある生活への向上を支援したこと。

ι建国家攻撃の成功=女性抑圧の制度としての封建国家を攻撃することにより,女性たちに旧国家の軍隊と戦うための自分たち自身の軍隊を持つことの必要性を自覚させた。

Д献Д鵐澄写簑蠅罰級問題の融合=人民戦争を通したイデオロギー的発展により,ジェンダー問題と階級問題を融合させることが出来た。

パ同志によれば,以上の成果を確保し,さらに発展させるには,国家権力の奪取と,マルクス=レーニン=毛沢東イデオロギーに基づくプロレタリアの軍隊が必要だ。プロレタリア軍によってのみ,女性がこれまでに獲得したものは確保され,さらに発展させられるのである。

8.革命の蛮勇
パルバティ同志の「人民戦争10周年と女性解放の問題」(2006)は,わずか10ページほどの短文だが,以上のように,なかなか面白い。共産党系の文章は,1行読むと以後の100ページは読まなくても分かるようなものが多いが,パ同志の文章には,本音がちらほら含まれており,読者を飽きさせない。

パ同志の「新しい科学的文化」は,文化論としてはナンセンスだが,政治運動のスローガンとしては有効だ。彼女の怒りは本物であり,武器は科学と軍隊。左手に科学,右手に軍隊,山の神同志は憤怒相となり,蛮勇をふるい,封建遺制を粉砕する。

うろ覚えだが,ツヴァイクが『エラスムスとルター』のなかで,時代を変えたのは賢者エラスムスの英知ではなく熱狂ルターの蛮勇だったといった趣旨のことを書いていた(ような気がする)。神秘主義者,とんでもない女性差別主義者のルターがヨーロッパ近代の幕を開いたのだ。

パ同志において,本来相容れないはずの氷と火の科学と革命(怒り)が結びつき,既存社会を焼き尽くそうとしている。その怒りが持続し,ネパール近代化革命が達成されるかどうか,注視していたい。

なお,結びとして勇敢プラチャンダ議長の文章が長々と引用してあるが,これは刺身のつま。無味乾燥で,食えたものではない。こんな金ぴか額縁をつけざるを得ないのが,共産党系組織人の悲しさだ。