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  道路と携帯電話と停電と
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 No.090302005036832501    09/03/02(Mon) 00:50   by  野崎泰志 [変更] [削除]
 1年ぶりにネパールで3週間過ごした。

 定点観測的に地方へ行くと変化がよく分かる。ナヤプールからシャウリバザールを通ってガンドゥルングへ行った。去年までは、ビレタンティとシャウリバザールの中間くらいまで道路が通じていた。2004年にはそれすらなかった。今年は、なんとシャウリバザールを越えたところまで道路ができている。
 うかうかと道路を歩いていたら、道路が高度の高いところを走っていて、いつのまにかシャウリバザールを通り越していた。引き返して、旧道に出て歩き直した。
 あと2ヶ月かそこらで、ガンドゥルングまで開通するらしい。開通したら、誰も旧道を歩かなくなって、トレッキングコースとしては廃れるだろう。

 ガンドゥルングに着いて驚いたのは、携帯電話用の電波タワーが立っていて、これも二ヶ月後にはネットワークにつながるというのだ。一緒に行った学生たちは、もう国際ネットワーク付きの携帯電話を持っていて、カトマンズへ友達からかかってきて、「あ、俺、今カトマンズ」とか、「お母さん? 今、カトマンズなの」などとやっている。山の上でもこれができることになる。写メールでマチャプチャレの写真をそのまま日本に送ったりするのだろう。

 1992年頃は、日本の緊急援助隊は100kgもあるスーツケース大の衛星通信装置を持ち込んでいた。1996年頃に総選挙の国際監視団に私が参加した時は、大使館員はショルダータイプの衛星通信セットを使っていた。2年前は、私自身で大型の鉛筆入れ程度に大きい衛星電話を、数万円もかけてリースした。来月あたりから、ガンドゥルングからすら、学生が使っている携帯電話で日本直通になるというのだ。

 道路はいまや、ベニから伸びてジョムソン、そして何とムクチナートまで車で行けるらしい。四輪駆動があれば、カトマンズからムクチナートまで3泊程度で着いてしまうだろう。昔、足のないインドの巡礼者が、這ってジョムソン街道をムクチナート目指して移動しているのに会ったことがあるが、そういう光景も、今は昔ということになるのだろうか。

 道路開発は急速に進んでいて、新しく切り開かれた道路をいたるところで見る事ができる。また、住宅などの建築も田舎でも盛んで、いたるところで木が切られている。アンナプルナ自然保護区は一体どうなるのだろうか。ACAPでは昔はロッジのメニュまで統一して森林保護に徹していたはずだ。今は、どんなメニューでも作ります、とロッジの看板に書いてある。都市部の建設ラッシュにいたっては限度を超えて騒音の基でもある。トリスリ川は、建築用の砂や石の採取で、醜いばかりに虫食い状態だ。

 などと、嘆いて見せても、さほど意味はなかろう。豊かになりたいという願望は誰にも止められない。特に中西部はあまりに低開発だった。だから、革命がそこから始まった。

 ガンドゥルングの一軒の家が新築中だった。マオイストが昔、寄付を拒否したかどで放火し、今はマオイストが立て直していると言う。

 ガンドゥルングは退役ゴルカ兵が多く比較的裕福で、自前の水力発電で停電はない。カトマンズでは、16時間程度の停電が続いていて、24時間対応と書いてあるATMも入ってみると作動しない。空気と水と景色と電力と、そして道路もあるとなると、1500mあたりのあの辺に、定年後に文字通りのペンションを建てて暮らすのも悪くないと思うようになった。